【アル中】断酒後の人生の方がしんどいよねって話
アルコール依存症を認知したあとも当然苦しみだらけの人生は続きます。
酒を抜くといろんなことがいい方向に向いていくってのは間違いないとは感じていますが、基本的に人生は苦しみだらけですから酒を抜いたから全てバラ色!オールOK!ってことにはなりません。
僕は第二の否認をしている人にそういう感じを受けたりするんですが結構危険思想なんじゃないのかなぁって思うんです。
酒だけがこの世の地獄を一手に引き受けてるわけじゃないわけで。
僕は断酒したんでエネルギッシュに生活とか仕事はしてますし、タフなことも割とこなせてます。
その結果膨大な仕事を振られてストレスは振り切れ、筋トレも張り切りすぎて何回か怪我をしてますし、大きな怪我が今も生活に影を落としてます。
酒飲んでたらどうだったかってことをよく考えますが、多分仕事を振られることはなかったし、筋トレだって怪我するまでやる気力は出てきないと思います。
断酒したからこそ新たな苦悩も生まれてくるわけですよね。
要はバランスなんですよね。
断酒をしてこの言葉の重要性が骨の髄まで染みてる最近ですが、第二の否認に行き着くと「酒をやめたら人生薔薇色!オールOK!」ってなっちゃうわけです。
う〜ん行き着く先はスリップしか感じないわけです。
そんなわけないんですよ。
酒に依存する原因が他にあるわけで、酒を取り除いてもそれは無くなってないわけですから。
断酒は手段です
完全に理解した曲線ことダニング・クルーガー効果ってあるじゃないですか。
断酒ってこの曲線を描くようなイメージがあります。
早い人だと2週目あたりで離脱症状が消えてくるコイツ。
離脱症状が抜けると酒からの解放を感じて全能感に包まれますよね?
マイナスから0に戻ってる最中なだけで全然スタートまでまだまだ道のりは遠いんですけど、この時の感覚って「全てが解決する、できるような感覚」なんです。
そうすると、対人関係だろうが健康問題だろうが酒に逃げてた理由までもが小さいことのように思えてきて乗り越えられそうな気がしてきます。
実際、僕もいわゆるハネムーン期の勢いのまま突っ走って色々解決したり新たに始めたりしました。
まぁそういう衝動って大事だと思うんです。
大事なんですが、結局長く続かないし次に乗り越えようと思った時にはハネムーン期の高揚感も薄れてて普通の人になってるのでシラフの状態で問題解決に取り組まないといけません。
ここがマイナスから0に戻ってきた状態なんですが、当たり前ですけど結構しんどいんすよ。
周りを見ればやっぱり酒に溺れてない人たちが先に行ってる感じもあって「完全に理解した曲線の底」に行き着きます。
これが壁期ってやつなんでしょうけど、僕は結構ショックでした。
酒でヘロヘロになってた間、当たり前ですが時間は流れててコツコツやってた人たちがその分だけ先に進んでるわけです。
自分は今までなんてことをしてたんだっていう絶望が大きくてそりゃもう酒の呼び水になりました。
というか、あれだけ苦労して酒をやめたのに僕から見た世の中は何も変わってなかったってのがショックだったんです。
そこで気づいたんです。断酒は手段であってゴールじゃないんだってことです。
断酒後に見つめないといけないこと
断酒後に直面する問題で一番ストレスになるのって対人関係だと思います。
まぁ対人関係は酒の有無関係なくストレス原因の最たるものだと思いますけど、酒がからむとなおのこと大変ですよね。
僕はアルコール依存中に暴れまわって傷つけてしまった人がたくさんいますし、そういう人たちに「酒やめたんで許してください」っても基本的には許してくれないわけですよ。
まずそういうことしてきた自分に向き合わないといけません。
これまで傷つけた人はもう僕に会うことはないと思います。
それは時間をかけて解決していくとして今後同じことをしないために他人のことをきちんと考えないといけません。
何が驚くって普通の人は普通にそういうことしてるんですよ。
僕は30半ばからそれを始めるんですよ。思いやりについてをこれから考えるってわけです。そら置いてかれてる感が強くてすげーストレスだって話です。
そういうのを当たり前にやってた同世代の人は僕が断酒してスタート地点に戻ってきた時点で世の中の中核を担う存在になってて、あぁもうこれは縮まらない差なんだなぁってことを受け入れないといけないんです。
人生は確かにいつだってやり直しはききますし遅すぎるってことはないんですが、それは主観的な話で、そりゃ他人と比べればもっと早く...って話になるわけです。
この辺りでまた感じます。
「あんなに辛い経験を乗り越えて断酒したのにこの仕打ちはなんだ。意味ないんだったら酒飲もうかなぁ!」
んで、やっぱり気付きます。人生なんて主観でいいんです。
多くの人が言ってる「人と比較することの無意味さ」ってもしかしてこのことなんじゃないの?って。
そもそも断酒って誰かに褒めてもらうものじゃないんだから人と比べても仕方ないわけです。「酒やめました」って言って驚いたり褒めたりしてくれるのは医者か老人だけです。
多分それは離脱症状の辛さを理解してる人なんでしょうね。そうなんですよ。
酒やめたって情報は世間的には大した話じゃないんです。
だから依存の理解も深まらないんだろうって感じはしますが、そういうもんなんです。
断酒はいろんな問題解決を素面で受け止めて消化しないといけない覚悟が必要なんです。
シラフの世界は結構しんどい
僕はシラフで色んなことを受け止められなかったから酒に逃げたフシがあります。
で、断酒して戻ってきた世界はやっぱり辛いことばっかりです。
とはいえ、20年前に酒に溺れ始めた頃とはやっぱり経験は違います。
そりゃ酒に飲まれて悪態ついてたことを経験と呼ぶのかどうかは微妙ですが、自分なりに色々と経験を積んだつもりです。
それがあるので、とりあえず今はなんとかなってて酒に逃げることはせずにすんでるってのが今の状況です。
ただですね?シラフで問題解決に向き合うとそこから得られる経験値は全然違います。
そうするといいサイクルに入ってまた酒から遠ざかるなぁなんて感じます。
だから結局酒で何かを解決しようってことはどんどん無くなっていきます。
でも、酒がないと全てがリアルなので慣れてくるとしんどさが増します。
この気持ちの揺らぎがスリップにつながるって感じは受けます。
じゃ、酒を飲んで何か一つでも好転するのかな?ってのを考えるとそうじゃないことはわかってるので苦しさが増すんですよね。
で、こんなに苦しいなら飲んでしまおうかって気持ちがやっぱり湧いてきますよね。
結局一回酒に溺れたあとはやっぱり頭がその感覚に縛られてるんだって実感しますよね。
これを一生耐えるって思うと今すぐにでもスリップしたくなるので、気持ちの落とし所が大事だと思ってます。
僕の場合は断酒4年目に見つけたソーバーキュリアスです。
断酒生活はバランスを大切に
断酒を始めて離脱症状が落ち着いてくるのが三週目くらいでした。
この時は結構エネルギッシュになる時期なので色々とチャレンジしがちです。何かを始めるには絶好の機会なんで取り組んだほうがいいと思います!
特に二日酔いが無くなって頭も体もさえるのでスポーツとか勉強に取り組みたくなるみたいです。
ですが、実際は酒のダメージは抜けきってないので急に色々手を付けるとやっぱり負担になります。
で、行き着く先はスリップなので少しずつやるのがオススメです。
人って変化に弱いじゃないですか?
断酒だけでも相当な変化なのにあれやこれややるとどうしても疲れます。
さらにシラフでいろんなことと向き合うと分かりますが意外と何もできないんです。
飲んでたときは随分クリエイティブな人生だと思ってましたが全然大したことなかった…
自分の無力さにガックリきますんでそれを愚痴れる相手も用意しておくといいです。
僕は奥さんに今でも「お前(自分の内面に対して)それ今気づいたのかよ」って言われることがよくあります。
ちなみに僕の断酒初期ですが、酒を飲んでる頃に筋トレは習慣化してて、この頃に大学にも通っていて勉強も多く抱えてました。
それに加えて二人目の子供が生まれたばっかりです。
これは明らかにやりすぎです。
やるべき事がすごく多くて大変でしたけど、ハネムーン期の高揚感で乗り切ってました。
まじでハネムーン期って無敵な感じするんですって。
でも、いつも考えますけど何かやるにしてもバランスよく自分と折り合いをつけてストレスに溜めずに気持ちの落とし所をもって断酒に取り組むのが絶対にベストだと思います。
断酒生活の方が長くなるようにこの後の人生を設計できればいいですね。